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JIS R3255:1997 pdfダウンロード

JIS 10-02
JIS R3255:1997 pdfダウンロード

JIS R3255:1997 pdfダウンロード。ガラスを基板とした薄膜の 付着性試験方法 Test methods for adhesion of thin films on glass substrate
1. 適用範囲
この規格は,ガラス基板上に形成された,厚さが1μm以下の金属,金属酸化物又は金属窒化物の平たんな薄膜の付着性の試験方法について規定する。 2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。
(1) 半球状圧子針 先端を半球状に磨いた硬質材料からなる圧子針(スタイラス)。
(2) 針荷重 圧子針を介して試験片表面に加えた力。
(3) 負荷速度 針荷重が単位時間当たりに増加する割合。
(4) スクラッチ速度 試験片に圧子針を押し付け,試験片をその面に平行かつ直線的に移動させる速度。
(5) スクラッチ試験方法 圧子針を一定の負荷速度及びスクラッチ速度で試験片に押し付け,薄膜に損傷の生じる荷重から,薄膜の付着性を試験する方法。
(6) マイクロスクラッチ試験方法 圧子針を水平に微小振動させながらスクラッチ試験を行い,薄膜の付着性を高感度に試験する方法。
(7) マイクロインデンテーション試験方法 圧子針を傾斜した試験片に一定の速度で押し込み,針荷重の異常変動から薄膜の付着性を高感度に試験する方法。
(8) 臨界損傷 試験領域で最初に膜のはく離が生じている状態。
(9) 完全損傷 試験領域で100%はく離が生じている状態。
(10) 臨界損傷荷重 臨界損傷をもたらす針荷重。
(11) 完全損傷荷重 完全損傷をもたらす針荷重。
(12) 薄膜の付着力 ガラス基板に対する薄膜の付着性を臨界損傷荷重,完全損傷荷重又は臨界荷重を基に算出したせん断応力で表したもの。
参考 密着力,付着強度ともいう。
3. 試験方法の種類 試験方法の種類は,次のとおりとする。
(1) マイクロスクラッチ試験方法 (2) マイクロインデンテーション試験方法
4. 標準試験片 この装置の校正に用いる標準試験片は,石英ガラスを基板とし酸化チタンの薄膜を付着させたもの(付着力の比較的小さい標準試験片)と石英ガラスを基板としクロムの薄膜を付着させたもの(付着力の比較的大きい標準試験片)とする。
(1) 石英ガラス基板 四塩化けい素を原料として気相法によって合成した石英ガラスインゴットを板状にスライスして,両面研磨機によって粗く研磨した後,酸化セリウムを使用して鏡面に磨きあげる。洗浄は,酸洗浄,超純水洗浄及びイソプロピルアルコール洗浄を超音波振動を与えて行う。
(2) 酸化チタン薄膜標準試験片 プレス成形した酸化チタン蒸着物質を用い,(1)の石英ガラス基板に,真空蒸着法によって厚さ約80nmの酸化チタンの膜を生成させたもの。石英ガラス基板を約300℃に加熱し,蒸着室の真空度が1.0×10−3Pa以下になるまで排気を行った後酸素を導入し,真空度が約1.7×10−2Paになった時点で酸素を導入しながら反応蒸着を開始し,所定の膜厚になるまで蒸着を行う。成膜速度は,約0.3nm/s程度とする。
(3) クロム薄膜標準試験片 純クロム製ターゲットを用い,(1)の石英ガラス基板に,スパッタ法によって厚さ約100nmのクロムの膜を生成させたもの。 スパッタガスにはアルゴンガスを用い,スパッタ装置のスパッタ開始前の到達圧力は3×10−4Pa以下,スパッタ時のガス圧力は0.2Pa,成膜速度は約5nm/sとする。
5. 試料試験片
試料試験片は,次に示す構成,寸法及び形状をもつものとする。
(1) 試験片の構成 表面が平たんな薄膜で,針荷重程度の力学的負荷では全体がたわみ変形しない基板の上に形成する。
(2) 試験片の寸法 試験片の最大寸法は,試料台に載せて固定できる大きさとし,最小寸法は,固定した後に試験面が5×5mm以上確保できる大きさとする。
(3) 薄膜の厚さ 測定可能な最大厚さは,半球状圧子針を試験片に押し付けることによってできる接触円の半径程度である。
6. 標準試験片及び試料試験片の保管 標準試験片及び試料試験片の保管は,油分,水分などの付着を防ぐ目的で,乾燥空気及び窒素ガスを封入した密閉型の容器中に保管する。
7. マイクロスクラッチ試験方法
7.1 測定原理 測定原理を示す模式図を図1に示す。ダイヤモンド製圧子針をカンチレバーを介して試験片面に押し付け,このカンチレバーの支点を試験片表面に平行に微小な振幅で振動させると,試験片と圧子針間に作用する摩擦力に応じて圧子針にスティックスリップ振動が生じる。薄膜に損傷が生じると,圧子針に作用する摩擦力が不規則に変化するので針先の運動は大きく変化する。この微小振動と直角の方向に圧子針を移動させてスクラッチ試験(1)を行うと圧子針に生じる不規則な振動から,臨界損傷をはじめとする薄膜の付着損傷の発生を検知する(2)ことができる。 付着力は,臨界損傷荷重と完全損傷荷重によって表示する。 ガラス基板の押込み硬さ(3)が分かっている場合は,式(1)によって計算した押込み部の境界円 (L) に発生した臨界せん断応力によって表示することもできるが,この場合はガラス基板の押込み硬さの値も併記する。

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